CATIAを使い始めた設計者が最初に覚えるべき操作
はじめに
機械設計の現場に入って最初に戸惑うもののひとつが、CADツールだ。
📗 現場で即使える実務チェックリスト集
本記事で紹介する内容の完全版チェックリスト・テンプレートを note マガジン「機械設計 実務チェックリスト集」で公開中。図面チェック・設計変更管理・レビュー準備などをすぐコピペで使える形式でまとめています。
特にCATIAは、機能が膨大で最初は何から覚えればいいか分からない。
マニュアルは分厚く、操作の種類は無数にある。
ところが現場では「使えて当たり前」という空気の中でいきなり実務が始まる。
私も現場に入ってから、手探りでCATIAを覚えた。
当時のノートには「この操作どうやるんだ」という疑問メモが何度も出てくる。
この記事では、その経験から「最初に覚えるべき操作」に絞って紹介する。
全機能を網羅するのではなく、実務でまず使う操作を優先した。
CATIAの基本構造を最初に理解する
操作を覚える前に、CATIAのファイル構造を理解しておくと後が楽になる。
CATIAには主に3種類のファイルがある。
| ファイル種別 | 拡張子 | 用途 |
|---|---|---|
| Part(パート) | .CATPart | 単品の3Dモデルを作る |
| Product(プロダクト) | .CATProduct | 複数のパートを組み合わせてアセンブリを作る |
| Drawing(ドラフティング) | .CATDrawing | 3Dモデルから2D図面を作る |
この3つの関係を最初に把握しておくと、「今自分が何をしているか」が分かりやすくなる。
最初に覚えるべき操作——7つ
📬 新着記事を見逃さないために
機械設計の現場で使えるノウハウを週2〜3本ペースで更新しています。お好きな方法で購読してください:
- note でフォロー → アプリ/メールで通知(無料・最推奨)
- X で @sekkei_tech をフォロー → タイムラインで受信
- RSS / Feedly → リーダーに登録
※ note フォローは無料・ワンクリック。noteアカウントがあればメール通知もON/OFF選べます。
① スケッチャー:拘束の考え方
CATIAでの3Dモデル作成は、まず2Dスケッチから始まる。
このスケッチを描く機能が「スケッチャー」だ。
スケッチャーで最初に意識すべきなのが「拘束(コンストレイント)」だ。
拘束とは、スケッチの要素(線・円・点など)に対して「固定すべき条件」を与えることだ。
たとえば「この線は水平」「この円の直径は50mm」「この2点の距離は30mm」といった条件が拘束にあたる。
拘束が完全にかかっている状態(フル拘束)になると、スケッチの形状が確定する。
拘束が不完全な状態(未拘束・過拘束)のまま進めると、後で寸法変更したときに形状が意図しない方向に変化することがある。
まず覚える拘束操作:
– 寸法拘束(距離・直径・角度を数値で固定する)
– 幾何拘束(水平・垂直・一致・対称などの条件を与える)
– 拘束の状態を確認する(色でフル拘束かどうかが分かる)
② パッド:スケッチを3Dにする基本操作
スケッチができたら、それを3Dの形状にする。
最も基本的な操作が「パッド(Pad)」だ。
パッドは、2Dスケッチを指定した厚さで押し出して3D形状にする操作だ。
操作手順:
1. スケッチャーで断面形状を描く
2. スケッチャーを終了する
3. メニューから「パッド」を選択する
4. 押し出し方向と距離を指定する
5. OKで確定
パッドと合わせて覚えたいのが「ポケット(Pocket)」だ。
ポケットはパッドと逆に、既存の形状からスケッチ形状を「くり抜く」操作だ。
この2つで、箱・穴・溝などの基本形状のほとんどは作れる。
③ ツリー(スペックツリー)の読み方
CATIAの画面左側に表示されるのが「スペックツリー」だ。
モデルを作った操作の履歴がツリー状に並んでいる。
ツリーを読めると:
– どんな操作でこの形状が作られているかが分かる
– 過去の操作に戻って寸法を変更できる
– 他人が作ったモデルの構造を理解できる
ツリーの操作で最初に覚えること:
– ツリー内の各操作をダブルクリックすると、その操作の編集画面に入れる
– ツリー内の操作を右クリックすると非表示・削除などができる
– ツリーの順番が形状の作成順序を表している
④ 保存とファイル管理
CATIAのファイル管理は、一般的なソフトとは少し違う点がある。
特に注意すべき点:
- Productファイルは、Partファイルへの「参照」で成り立っている:Productを開くと関連するPartも同時に開く。Partファイルを移動・削除すると、Productが正しく開けなくなる
- 保存先のフォルダ構成を崩さない:会社・プロジェクトごとに決まっているフォルダ構成に必ず従う
- こまめに上書き保存する:CATIAは複雑な操作が多く、予期せずフリーズすることがある
現場では保存ルールが決まっていることが多い。
最初に「どこに、どんな名前で保存するか」を確認してから作業を始める習慣をつけると、後でファイルを探す手間が省ける。
⑤ ドラフティング:3Dモデルから2D図面を作る
3Dモデルが完成したら、それをもとに2D図面を作る作業が「ドラフティング」だ。
基本的な流れ:
1. Drawingファイルを新規作成する
2. 図面枠・用紙サイズを設定する
3. 3DモデルのPartまたはProductを選択する
4. 正面図・側面図・上面図などを配置する
5. 寸法・表面粗さ・公差などを記入する
ドラフティングで最初に覚えるべきポイント:
- 投影法の設定:第一角法・第三角法のどちらを使うか、現場のルールに従う
- 正面図の選び方:製品の形状を最もよく表す方向を正面図にする
- 寸法の自動配置と手動調整:自動で配置された寸法は位置を整理する必要があることが多い
⑥ 干渉チェック(クラッシュ検証)
アセンブリ(Product)での作業で、早めに覚えておきたい操作が「干渉チェック」だ。
複数の部品を組み合わせたとき、部品同士が重なって(干渉して)いないかをCATIAが自動で確認してくれる機能だ。
目視では気づきにくい干渉も、この機能を使えば数値として確認できる。
アセンブリを修正したあとに必ず実行する習慣をつけると、後工程でのやり直しが減る。
⑦ 他人のモデルを読み解く力
実務では、最初から自分でモデルを作るだけでなく、他人が作ったモデルを修正することも多い。
他人のモデルを読み解くときのポイント:
– まずスペックツリーを確認する:どんな操作の積み重ねで作られているかを把握する
– スケッチを確認する:各操作の元になったスケッチを見て、設計の意図を読む
– いきなり修正しない:構造を理解してから手を動かす。でないと意図しない形状変化が起きる
まとめ
| 操作 | 覚えるポイント |
|---|---|
| ①スケッチャー | 拘束を完全にかける習慣 |
| ②パッド・ポケット | 押し出し・くり抜きの基本 |
| ③スペックツリー | 操作履歴を読んで編集できる |
| ④保存・ファイル管理 | フォルダ構成を崩さない |
| ⑤ドラフティング | 3Dから2D図面を作る流れ |
| ⑥干渉チェック | アセンブリ修正後は必ず実行 |
| ⑦他人のモデルを読む | 理解してから手を動かす |
CATIAは機能が多いぶん、覚えようとすると際限がなくなる。
最初は「今日の実務に必要な操作だけ」に絞って覚える。
それを積み上げていくのが、結果として最も早く使えるようになる道だ。
設計×現場ラボ|機械設計の実務知識を、現場目線で発信しています。
よくある質問
Q. CATIAを独学で覚えることはできますか?
A. 基本操作は独学可能です。スケッチャー・パッド・コンストレイントの3機能を優先的に習得し、実際の設計業務の中で反復練習するのが最も効率的な習得方法です。
Q. CATIAとSolidWorksはどちらが覚えやすいですか?
A. 一般的にSolidWorksの方が直感的で覚えやすいと言われています。ただし、航空・自動車業界ではCATIAが標準のため、業界に合わせて選ぶことが重要です。
Q. CATIAの資格(認定試験)はありますか?
A. ダッソー・システムズ社が公認する「CATIA認定試験」があります。ただし実務での評価は資格より実際のモデリングスキルが重視されるため、資格取得より実践的なスキル習得を優先することをお勧めします。
この記事に関連するおすすめ書籍
📎 あわせて読みたい関連記事
📄 【無料配布】印刷してデスクに貼れる「図面チェック48項目」
寸法・公差・加工性・干渉・材料・規格の6カテゴリ色分け、A4横1枚にまとめました。個人利用・社内教育用に自由にお使いください。
CATIAをもっと体系的に学ぶなら
独学には限界がある。体系的に学び直したい・スキルを証明したい場合は、CADのオンライン講座も選択肢になる。
【e-Groove】自宅で学べるCADオンラインスクール。AutoCAD・JWCAD・Fusion360に対応、月額3,800円から


コメント