はじめに
図面管理の失敗は、現場で深刻なトラブルを引き起こします。
「古い図面で部品を作ってしまった」「どれが最新版かわからない」「変更した理由を誰も知らない」——こういった問題は、図面管理ルールが曖昧な現場では日常的に起きています。
私も過去に、版数管理が徹底されていない現場で、旧版図面で製作が進んでしまうというトラブルを経験しました。その経験から、図面管理の重要性を痛感しています。この記事では、現場で実際に機能する図面管理の方法を紹介します。
図面番号・版数管理の基本ルール
図面番号の体系
図面番号は「プロジェクトと図面の内容を一意に識別するコード」です。
【図面番号の体系例】
形式:[プロジェクト略号]-[分類]-[連番]
例:
TRN-ASM-001 → 搬送設備(TRN)の組立図(ASM)001番
TRN-DET-015 → 搬送設備(TRN)の部品図(DET)015番
分類コードの例:
ASM:組立図(Assembly)
DET:部品図(Detail)
SCH:スケマティック・概略図
LAY:レイアウト図
ポイント:
→ 番号体系は最初に決めて、プロジェクト内で統一する
→ 番号を後から変えると追跡が困難になる
版数(リビジョン)管理
【版数の管理ルール】
初版発行:Rev.A または Rev.0 から始める
変更のたびに:Rev.B → Rev.C → ... または Rev.1 → Rev.2 → ...
版数更新のタイミング:
→ 形状・寸法・材質の変更
→ 溶接・表面処理の変更
→ 公差・注記の変更
版数更新しなくて良いもの(内部メモレベル):
→ 誤字修正(内容に影響しない)
→ 体裁の微修正
重要:版数が変わったら、旧版に「旧版」「OBSOLETE」とスタンプを押し、
誤使用を防ぐ(または旧版ファイルを専用フォルダに移動する)
変更履歴の残し方
改訂欄の書き方
図面の表題欄には「改訂欄(リビジョン欄)」を設けます。
【改訂欄の記入例】
Rev 日付 変更内容 担当者
--- ---------- ---------------------------- ------
A 2024-03-01 初版発行 山田
B 2024-04-15 取り付け穴位置を変更(X:50→55) 山田
C 2024-06-20 材質をSS400からSM490Aに変更 鈴木
書き方のポイント:
→ 「何を・どう変えたか」を具体的に書く
→ 「一部修正」「顧客要求に基づき変更」などの抽象的な記述は避ける
→ 変更担当者を記録することで責任の所在が明確になる
デジタル管理とファイル命名規則
フォルダ構成
【推奨フォルダ構成】
プロジェクトフォルダ/
├─ 図面/
│ ├─ 最新版/ ← 常に最新版だけを置く
│ └─ 旧版/ ← 廃版になった図面はここへ移動
├─ 3Dデータ/
│ ├─ 最新版/
│ └─ 旧版/
├─ 仕様書/
└─ 変更履歴/ ← 設計変更管理シートを置く
ルール:
→ 「最新版」フォルダには常に1種類のファイルだけ置く
→ 「最新版」の中に「Rev.A」「Rev.B」が混在しない運用にする
ファイル命名規則
【ファイル命名の例】
形式:[図面番号]_[部品名]_[版数].[拡張子]
例:
TRN-DET-015_フレーム支持ブラケット_RevC.sldprt
TRN-ASM-001_搬送フレーム組立_RevB.sldasm
TRN-DET-015_フレーム支持ブラケット_RevC.pdf
ポイント:
→ ファイル名に版数を含めることで、フォルダを開くだけで版数がわかる
→ 日本語ファイル名は文字化けリスクがあるため、英数字ファイル名を推奨
→ スペースはアンダースコア(_)に置き換える
図面の配布管理
【図面を配布するときの注意点】
□ 配布先・配布日を記録する(誰がどの版数を持っているか把握する)
□ 改訂時は旧版の回収または「旧版である旨」の通知を行う
□ 製造・外注先には「版数付きのPDF」を配布し、原本CADデータを渡さない
□ メール送付の件名に版数を記載する(例:「図面送付 TRN-DET-015 Rev.C」)
まとめ表
| 管理項目 | ルール | よくある失敗 |
|---|---|---|
| 図面番号 | 体系を最初に決めて統一する | 途中で体系が変わって追跡できなくなる |
| 版数管理 | 変更のたびに版数を更新する | 版数を更新し忘れて最新版が不明になる |
| 改訂欄 | 具体的な変更内容を記録する | 「一部修正」などの曖昧な記述で後に追跡不能 |
| フォルダ管理 | 最新版と旧版を分けて管理する | 同じフォルダに新旧が混在して混乱する |
| ファイル命名 | ファイル名に版数を含める | バージョンが名前からわからない |
| 配布管理 | 誰がどの版数を持つか記録する | 旧版で製作が進んでしまう |
図面管理のルールは「決めることより守ること」が難しい。チーム全員が同じルールで動ける仕組みを、最初にしっかり作ることが重要です。
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