はじめに
機械装置の振動は、騒音・疲労破壊・精度悪化・ボルトの緩み・寿命低下など多くの問題を引き起こします。
振動対策は後付けで対応しようとすると大きな手戻りになりやすいため、設計段階から意識しておくことが重要です。
振動の発生原因
機械装置で発生する振動の主な原因:
①回転体の不釣り合い(アンバランス)
→ 回転部品の重心が回転軸からずれている
→ モーター・ファン・回転工具で発生しやすい
②機構の周期的な力(往復運動・噛み合い)
→ ピストン・クランクの往復力
→ 歯車の歯が噛み合う周期(歯合い振動)
③共振
→ 外部からの加振力の周波数と構造物の固有振動数が一致すると
振動が急激に大きくなる(共振現象)
→ 共振は最も危険な振動状態
④流体振動
→ 配管内の液体・気体の流れによる圧力変動
振動対策の3つのアプローチ
アプローチ①:振動の発生を減らす(発生源対策)
→ 回転体のバランス取り(動釣り合い修正)
→ 設計形状の対称性を高める(重量バランスを均等にする)
→ 精度の高い加工・組立による不釣り合い低減
アプローチ②:共振を避ける(固有振動数の調整)
→ 構造を剛性を高めて固有振動数を上げる
(リブ追加・板厚増加・補強材追加)
→ または固有振動数を意図的に下げる(マス追加)
→ 「加振力の周波数」と「固有振動数」を1.5倍以上離す
アプローチ③:振動を吸収・絶縁する(防振対策)
→ 防振ゴム・防振マウントで振動を吸収する
→ 振動源と構造物を分離する(フローティング支持)
防振ゴム・防振マウントの選定
防振ゴムの役割:
振動源(モーター等)と支持構造の間にゴムをはさんで
振動の伝達を低減する
選定のポイント:
①支持荷重(静的荷重)が使用範囲内か確認する
②固有振動数が加振周波数より十分低いか確認する
→ 加振周波数の1/√2以下の固有振動数で防振効果が出る
→ 加振周波数が高いほど防振ゴムを柔らかくする
③材質・耐環境性
→ 油・溶剤にさらされる場合は耐油性ゴム(NBR等)を選ぶ
→ 高温環境では耐熱グレードを使用する
カタログには「固有振動数」「静的バネ定数」「許容荷重」が記載されているので参照する。
設計でよくある振動問題のパターン
パターン①:細長い構造物の共振
→ 長いシャフト・薄い板は固有振動数が低く共振しやすい
→ 中間支持・リブ追加で剛性を上げる
パターン②:モーター直付けによる振動伝達
→ 防振マウントを使わずモーターをフレームに直付けすると
振動がフレーム全体に伝わる
→ 防振マウントを介して取り付ける
パターン③:ボルトの緩み
→ 振動環境下でボルトが徐々に緩む
→ ダブルナット・緩み止めワッシャー・嫌気性接着剤で対策
パターン④:配管の振動疲労
→ 硬質配管が振動に优れ続けると疲労き裂が発生する
→ 防振サポートを追加する・フレキホースを使う
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