はじめに
客先常駐の設計者にとって「どこまでやるか・どこからはやらないか」という業務範囲の問題は、実際に現場に入って初めて直面することが多い課題です。
業務範囲があいまいなまま働き続けると、過剰労働・責任の不明確化・トラブルの原因になります。
業務範囲があいまいになる原因
原因①:契約時の業務内容が抽象的
「機械設計業務全般」という契約では何でも頼まれる可能性がある
原因②:善意でどんどん引き受けてしまう
「断ると印象が悪くなる」と思って範囲外の仕事を受け続ける
原因③:範囲外の仕事がいつの間にか「当然の業務」になる
一度やると「あの人がやってくれる」と認識されてしまう
原因④:常駐先の社員と同じ扱いになる
常駐の長期化で「外部」という区別が薄れ、
社員と同様の業務負荷がかかってくる
業務範囲を最初に確認する
常駐開始時に確認すべき項目:
①主担当業務(メインの設計業務の内容)
「何の設計を担当するか」を具体的に確認する
②報告ライン(誰に報告するか)
→ 複数の担当者から指示が来る場合に備えて
「誰を窓口にするか」を決めておく
③作業範囲(図面作成・設計計算・3Dモデル・調達支援等)
→ 「設計計算は含まれるか」「購買との連絡は含まれるか」等
④使用するツール・社内システムへのアクセス権限
→ 不要な情報にアクセスしないためにも重要
⑤労働時間・残業の扱い
「範囲外の仕事」を断る方法
断り方のポイント:
「私の契約範囲外のため対応できません」と言う必要はない。
「できないのではなく、優先順位の問題」として伝えると角が立たない。
パターン①:別の仕事で手が塞がっている場合
「現在○○の作業対応中で、すぐには難しいです。
○○が終わった後であれば対応できます。スケジュールを確認いただけますか?」
パターン②:明らかに契約外の業務の場合
「その業務は私の担当範囲と少し違うかもしれないのですが、
担当の方はいますか?一緒に確認させてください。」
パターン③:窓口担当者を通す
直接依頼されたときに「担当の○○さんを通して確認してみます」
と一度フィルターをかける
業務範囲を守ることの意味
外部設計者が業務範囲を意識して働くべき理由:
①自分の専門性を守るため
なんでも引き受けると「便利屋」になり
専門的な設計力を活かせない業務が増える
②責任の所在を明確にするため
範囲外の業務でミスが起きたとき、責任の帰属が不明になる
③継続的な関係を守るため
過負荷で品質が落ちると、長期的な信頼を損なう
「断る」ではなく「確認する」という姿勢で対応することで
客先との関係を壊さずに業務範囲を守ることができる。
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