装置架台の初期検討で、いちばん最初に詰まるのが荷重設定だと思う。自重と装置重量を足して、地震は0.3GくらいでいいかとKh=0.3と置いて、風荷重は屋内だから無視——というやり方で長年通してきた人も多いはずだ。私自身も20代の頃はそうだった。大手メーカーに外部設計者として常駐するようになって最初に詰められたのが、まさにこの「Khを0.3と置いた根拠は?」という一言だった。社内設計者から「告示1793号のどこから?」と問われて何も答えられず、図面を引き直したことを今でも覚えている。あれから20年、現場で叩かれ続けてようやく自分の中で固まってきた荷重設定の考え方を、この記事で棚卸ししたい。
荷重設定は、法令・告示・学会規準・業界指針・経験値が層になっている。建築基準法(昭和25年法律第201号)・同施行令(昭和25年政令第338号)を一番下の層に置き、その上に告示(国土交通省告示)、さらに上に日本建築学会(AIJ)の規準、最後に業界団体や装置メーカー独自の指針が乗る。どの層から引いた数値かを設計者自身が説明できないと、客先審査で必ず崩される。本記事では、装置架台で扱う荷重を「長期・短期・偶発」に整理しつつ、すべての係数と式に出典を付けて並べ直す。20年現場で叩かれて、ようやく自分の中で固まった棚卸しでもある。
装置架台で考えるべき荷重の全体像
装置架台と一口に言っても、3階層の構造物として扱う場面が多い。下からアンカー+基礎コンクリート、その上に鋼製架台フレーム、最上段に装置本体。それぞれに固有の荷重が乗り、組合せで応力が決まる。建築基準法施行令第82条(許容応力度等計算)では、構造耐力上主要な部分の応力度が長期・短期それぞれの許容応力度を超えないことを確認せよと定めている。装置架台もこの考え方を準用する。
材料はSS400(JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材)が圧倒的多数で、基準強度F=235N/mm²(板厚40mm以下、平成12年建設省告示第2464号)。長期許容応力度はF/1.5、短期はFそのまま、というのが基本だ。ここでF/1.5の「1.5」は単純な安全率ではなく、降伏点に対する余裕代であり、長期荷重下で塑性変形を起こさないための値だと理解しておきたい。短期がFまで許されるのは、地震・風のような一時的荷重では塑性に至らない弾性域ぎりぎりまで使ってよい、という思想に基づく。
| 荷重区分 | 内容 | 継続時間 | 代表的な許容応力度(SS400) |
|---|---|---|---|
| 長期 | 固定荷重G+積載荷重P+(多雪区域)長期積雪S’ | 常時 | F/1.5=156N/mm² |
| 短期 | 長期+積雪S・風W・地震K のいずれか | 数時間〜数日 | F=235N/mm² |
| 偶発 | 衝突・爆発・極稀地震(レベル2) | 数秒 | F相当または塑性域 |
出典:建築基準法施行令第82条/JIS G 3101:2020/平成12年建設省告示第2464号。
体験談を一つ。半導体クリーンルーム向け搬送装置の常駐設計をしていた時、社内基準としてKh=1.0が固定値として与えられていた。「告示の計算では出てこない値だが、社内ハザード解析でレベル2地震まで弾性で持たせる方針だ」と説明され、納得した。法令最低限と、企業の自主規準は別物だという感覚はこの時に身についた。
若手によくある間違いとして、「装置架台は機械だから機械工学便覧の安全率4を使えばよい」と思い込むパターンがある。これは半分正しく半分間違いで、架台が床に固定されて居室・通路・第三者に近接する場合は建築基準法側の許容応力度設計が優先される。労安則第151条の関連通達でも、固定設備は建築構造として扱う旨が示されている。機械便覧の安全率は可動部・回転体・揚重機構などの動的部位に適用し、静的な架台フレームには建築側の体系を当てる、という線引きが実務的だ。実務で「機械か建築か」迷ったら、私はまず客先の構造担当に一報入れて区分を明確化してから着手するようにしている。
長期荷重の見積もり
長期荷重は「常時かかり続ける荷重」で、固定荷重G(架台自重・装置自重・配管・配線)と積載荷重P(操作員・メンテ工具・一時仮置き)の和になる。施行令第85条(積載荷重)では用途別の積載荷重最低値が表で示されているが、装置架台は同表に直接該当しないため、AIJ「建築物荷重指針・同解説(2015年版)」3章の考え方を準用するのが一般的だ。
| 用途 | 床用P(N/m²) | 大梁・柱用P | 地震用P |
|---|---|---|---|
| 住宅居室 | 1800 | 1300 | 600 |
| 事務室 | 2900 | 1800 | 800 |
| 教室 | 2300 | 2100 | 1100 |
| 百貨店・店舗売場 | 2900 | 2400 | 1300 |
| 自動車車庫 | 5400 | 3900 | 2000 |
出典:建築基準法施行令第85条。装置架台のメンテ通路は教室相当(2300N/m²)か事務室相当を採るのが私の実務感覚で、客先審査でもこの根拠は通りやすい。
v03の話を書いておく。搬送コンベヤ架台の見積を急ぎでまとめた時、装置メーカー提示のカタログ重量2400kgをそのまま固定荷重に入れて構造計算を回した。後工程で断熱カバー150kg、保守用ステップ70kg、配管サポート込みで合計350kgが追加判明し、長期荷重が15%増。長期応力度がぎりぎり許容内だったのが、再計算で逆転して梁を1ランク上げる羽目になった。それ以降、装置重量は「カタログ値×1.15」を初期検討に必ず乗せている。
もう一件の体験談。食品工場の充填機架台で、装置乾燥重量1800kgを基準に長期荷重を確定したが、運転時にホッパー内製品が400kg満載、CIP(定置洗浄)時に洗浄水が250kg滞留することが運開直前に判明した。乾燥/運転/CIPの3状態で長期荷重が大きく変動する設備では、最大滞留状態を長期に組み込むのが鉄則だと再認識した。以降、流体・粉体を扱う架台では「乾燥重量+満載重量+洗浄水」の3点をBOM段階で必ず装置メーカーに確認している。
材料の基準強度Fは、降伏点(または0.2%耐力)と引張強さの70%のうち小さい方とする(平成12年建設省告示第2464号)。SS400は降伏点245N/mm²(16mm以下)だが、板厚と告示の整合を取ってF=235N/mm²。SUS304は0.2%耐力205N/mm²でF=205を採るが、薬液環境では別途許容低減が必要だ。なおSUS304の出典はJIS G 4304(熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)で、F値の根拠は平成13年国土交通省告示第1024号に整理されている。よく聞かれる質問に「SUS304L(低炭素)で許容を上げられないか」があるが、L材は耐食目的の低炭素仕様で0.2%耐力はむしろ低めに保証されるため、構造強度的にはSUS304より不利になることが多い。
短期荷重の扱い
短期荷重は風・積雪・地震の3本柱で、それぞれ独立した告示と式がある。装置架台では地震が支配的になるケースが圧倒的に多いが、屋外架台では風・積雪も無視できない。
風荷重
風圧力qは、平成12年建設省告示第1454号で q=0.6・E・V0² と定義される。Eは速度圧の高さ方向分布係数、V0は基準風速。
| 地表面粗度区分 | 内容 | Z_G | α |
|---|---|---|---|
| Ⅰ | 海岸・湖岸など極めて開けた地域 | 250m | 0.10 |
| Ⅱ | 田園・草原 | 350m | 0.15 |
| Ⅲ | 樹木・低層建築物 | 450m | 0.20 |
| Ⅳ | 中高層建築物が密集 | 550m | 0.27 |
E=E_r²・Gf で、E_r=1.7(H/Z_G)^α(H≧Z_b の場合)。ガスト影響係数Gfは高さ依存で、低層域は2.5前後、高層になるほど1.9前後に下がる。
| 地域 | V0(m/s) |
|---|---|
| 北海道(内陸部) | 30 |
| 東北太平洋側 | 32 |
| 関東平野 | 34 |
| 東海・近畿 | 34〜36 |
| 高知・宮崎 | 38 |
| 沖縄本島 | 46 |
出典:平成12年建設省告示第1454号 別表。
風力係数Cfは風洞試験データに基づき、AIJ「建築物荷重指針・同解説」6章で部材形状ごとに整理されている。装置架台のような骨組構造では充実率φ(投影面積に対する部材面積の比)で補正をかける。沖縄プラントの案件では、地震Z=0.7に対しV0=46m/s。地震より風が支配的という珍しい結果で、ブレース配置を風方向で見直した記憶がある。
実務でよく聞かれる質問に「屋内設置なら風荷重はゼロでよいか」がある。原則ゼロで問題ないが、開放型工場・荷捌き場のように常時開口がある建屋、または運転中シャッターが開く搬入口に近接する架台では、内圧係数Cpiを考慮して短期に風を入れるのが安全側だ。AIJ指針6.5節の内圧係数表(Cpi=±0.2〜±0.6)を使う。ここを怠ると、強風時の搬入口開放で架台に想定外の水平力が乗り、アンカーが緩むトラブルにつながる。
積雪荷重
積雪荷重Sは、施行令第86条で S=単位重量×垂直積雪量d×屋根形状係数 と定義される。単位重量は20N/m²/cm以上(多雪区域は30N/m²/cm以上)。
| 地域 | 垂直積雪量d(cm) |
|---|---|
| 札幌 | 140 |
| 新潟(長岡) | 250 |
| 富山 | 150 |
| 東京 | 30 |
| 大阪 | 30 |
| 福岡 | 30 |
出典:各特定行政庁の建築基準法施行細則。多雪区域では長期荷重に積雪0.35Sを加算する(施行令第82条第三号)。
v05の体験談。北陸案件で「ここは多雪区域だから長期に積雪を入れてください」と客先審査で指摘され、東京基準で組んでいた計算書を全面見直しした。垂直積雪量250cm、長期加算0.35S=0.35×30×250=2625N/m²。これが屋根面積30m²に乗ると約79kN。装置自重と同等のオーダーで、想定外の大改修となった。
地震荷重
地震荷重は一次設計(中規模地震、施行令第82条の2)と二次設計(大規模地震、第82条の3)の二段階構成。一次は許容応力度設計、二次は層間変形角・剛性率・偏心率・保有水平耐力で確認する。装置架台は一次設計+設備指針係数で押さえるのが一般的で、二次に踏み込むのは大型プラント据付の時くらいだ。
地震係数の選び方
ここが本記事の核心。地震層せん断力係数Ci=Z・Rt・Ai・C0、装置架台の水平震度Kh=Z・Rt・Ai・C0・β(βは設備指針による増幅・低減係数)。
Zは地震地域係数(昭和55年建設省告示第1793号 第1)。
| 地域 | Z |
|---|---|
| 一般地域 | 1.0 |
| 静岡・山梨の一部 | 1.0 |
| 福岡・佐賀・長崎の一部 | 0.8〜0.9 |
| 沖縄県 | 0.7 |
Rtは振動特性係数で、設計用一次固有周期T(鉄骨造略算でT=0.03h、hは建物高さ)と地盤種別から算出。
| 地盤種別 | 第1種(岩盤・硬質) | 第2種(普通地盤) | 第3種(軟弱地盤) |
|---|---|---|---|
| Tc | 0.4秒 | 0.6秒 | 0.8秒 |
| 判定 | N値50以上の硬質地盤 | 第1・3に該当しない | 沖積層30m以上等 |
Rtは T 地盤種別のN値判定は実務で迷いやすいので、私が現場で使っている早見を置く。 出典:昭和55年建設省告示第1793号 第2/AIJ建築物荷重指針 第5章。臨海部の埋立工場で「第2種で計算してください」と指示された案件で、念のためボーリングデータを取り寄せたら沖積層が28m続いていて第3種相当、Rtが0.85→0.75に下がる代わりに地盤増幅が効き安全側評価が必要、という経験がある。地盤種別は客先指示を鵜呑みにせず、ボーリング柱状図を一度は自分で見るのが鉄則だ。 Aiは高さ方向の分布係数で、α_i=Σ上層重量/Σ全重量とすると、Ai=1+(1/√α_i – α_i)×2T/(1+3T)。最下層Ai=1.0、最上層は1.5〜2.0程度に増幅する。 C0は標準せん断力係数で、一次設計0.2以上、二次設計1.0以上(施行令第88条)。 βは設備耐震指針の係数。 区分A〜Dの具体例を補足する。区分Aは病院の自家発・受水槽・防災指令盤・消防ポンプなど、地震後の機能維持が必須な機器。区分Bは半導体工場のクリーン設備本体・化学プラントの主反応器・大型変圧器など、損傷で重大被害が出る機器。区分Cは一般工場の生産機械・空調機・コンプレッサ等の標準設備。区分Dは小型補機・配管サポート・軽量ダクトハンガなど、損傷しても二次被害が小さい機器が該当する。 出典:国土交通省「建築設備耐震設計・施工指針 2014年版」(建築設備技術者協会・日本建築センター発行)。 v01とv04を続けて書く。v01は冒頭の通り、Kh=0.3の根拠を問われて答えられなかった話。v04は数年後、別の常駐先で「Kh=0.3」とだけ書いた計算書を出図したら、社内設計者から「これをZ・Rt・Ai・C0・βに分解して再提出してくれ」と差し戻された。やってみるとZ=1.0、Rt=1.0、Ai=1.5(2階建て最上段)、C0=0.2、β=1.0でKh=0.30とぴったり一致。設備指針区分Cで標準ケース、それ以上でもそれ以下でもない、と言い切れる計算書になって初めて受理された。 v02も付け加えておく。客先内規でKh=0.3指定が出図直前に「やはりB区分でKh=0.45」と差し替えられ、一晩で計算書を組み直した。アンカー引抜力が1.5倍になり、M12アンカーがM16に格上げ、ベースプレート厚も12mmから16mmに変更。設備指針の区分は客先の運用思想に直結するので、引合段階で必ず確認するようになった。 CADでの実務操作も少し触れておく。私はSolidWorks Simulationで簡易確認する時、装置質量を遠隔質量(Remote Mass)として重心位置に与え、水平方向に「重力×Kh」の遠隔荷重を入れて静解析を回す方式を取っている。架台モデルにそのままKh倍した加速度を与えると、配管や装置の質量分布が反映されず過小評価になりがちで、必ず遠隔質量で重心を明示する。Inventorでも「環境→等価質量」で同等の処理が可能だ。 装置架台の安定計算で必ず登場するのが転倒モーメントだ。水平地震力Kh×W が重心高さhに作用して回転を起こそうとし、自重Wが転倒支点回りに復元モーメントを生む。 転倒モーメント M_o = Kh・W・h 復元モーメント M_s = W・L(Lは支点から重心までの水平距離) 転倒安全率 Fs = M_s / M_o ≧ 1.5(AIJ「容器構造設計指針」等で1.5以上が一般) 安全率1.5の根拠は意外と問われる。建築側は荷重不確定性(自重±10%、地震係数の幅)と材料ばらつきを丸めて1.5を採っており、クレーン側1.35は走行時の動的試験で得られた裕度に基づく値だ(クレーン等安全規則・クレーン構造規格による)。出所が違えば数値が違うのは当然で、「とりあえず1.5」ではなく「建築準拠なので1.5」と書ける設計者でありたい。 500kg装置の試算例。装置重量W=4900N、Kh=0.3、重心高さh=1000mm、支点間距離2L=600mm(L=300mm)。 M_o = 0.3×4900×1.0 = 1470N・m M_s = 4900×0.3 = 1470N・m Fs = 1.0 これではアンカー無し自立は不可。アンカーで引抜抵抗を取るか、ベースを広げて2Lを大きくする必要がある。 v06の体験談がここで効く。装置単体カタログ重心h=800mmで検討してFs=1.6を確保したつもりが、後工程で配管サポート・操作盤・保守ステップを合成した重心がh=1320mmまで上がっていた。再計算でFs=1.05、ぎりぎり1を超える程度。重心上昇に気付いた瞬間に、ベース幅を50mm広げる図面修正を客先に頭を下げて出した。重心は「装置単体ではなく、架台全体で配管・電装込み」で取らないと痛い目を見る。 もう一件、立形タンク架台の体験談。容量1.2m³のタンクで満水時Wが大きく増え、満水重心と空タンク重心ではh差が約400mm生じることに気付かず、空タンク条件のみでFs=1.7を出して提出した。客先構造担当から「満水でも見せて」と一言。再計算でFs=1.42となり1.5を下回り、結局ベース幅を80mm拡大して再提出した。液体・粉体を扱う容器架台では「満充填/空/運用平均」の3条件で必ず転倒を見るのが教訓だ。 アンカーボルト1本あたりの引抜力Tは、転倒モーメントから自重モーメント分を差し引き、引張側列のボルト本数nと支点から引張側ボルト列までの距離2Lで割る。 T = (M_o – M_w) / (n × 2L) ここで M_w = W・L(自重の復元モーメント分)。 先の500kg試算の続き。アンカー4本(引張側2本、圧縮側2本)、2L=600mm(=0.6m)とすると、 T = (1470 – 1470/2) / (2 × 0.6) ≒ 612N/本ではなく、実務上は安全側に M_w を考慮しないケースも多い。安全側採用で T = M_o/(n×2L) = 1470/(2×0.6) = 1225N/本。 さらに地震時の動的増幅を見て、設計引抜力T_d ≒ 1.5×T = 1838N/本。M12アンカーでは引抜許容(HILTI HIT-RE 500 V3 / 埋込100mm / Fc=21N/mm² / 縁端距離十分)で約15kN/本程度確保できるので余裕で成立する。 ただし、ベースプレートの剛性が低いとボルト分担が均等にならず、最外列に荷重が集中する。AIJ「鉄筋コンクリート構造計算規準(RC規準)」の付録、JCAA(日本コンクリートアンカー協会)「あと施工アンカー設計施工指針」では、ベースプレート厚/ボルト径比でこの不均等を補正する手法が示されている。 若手によくある間違いとして「アンカーは引抜だけ見ればよい」というのがある。実際にはせん断・引抜の組合せ照査が必要で、HILTI Profis Anchor等の専用ソフトでは (Nd/Nr)^α + (Vd/Vr)^α ≦1.0(αは破壊モード別、コーン破壊α=5/3、鋼材破壊α=2)の楕円式で評価する。せん断単独でも、コンクリート縁端距離が浅いと縁端破壊(プライアウト・エッジブレイクアウト)が支配的になり、引抜許容の半分以下まで落ちることがある。 v07の話。現地調査で既存床のコンクリート設計基準強度Fc=18N/mm²と判明(古い工場で当時の標準)。M12アンカーで設計していたところ、コーン破壊側で許容低下が大きく、M16・埋込深さ125mmへ仕様変更。コンクリート強度は事前確認しないと、後出しで仕様変更が走る典型例だ。 床版押抜きせん断も忘れがちな項目で、アンカーが床版を貫通方向に押抜く現象。スラブ厚と配筋次第で支配的になることがあり、装置質量が3トンを超えると私は必ず押抜き照査も入れている。さらに2階以上の梁上設置では、梁の付加曲げ・付加せん断も建築側に渡して床伏図ベースで再検討してもらう必要がある。実務的にはこのタイミングで建築構造設計者と連携し、装置質量・固定位置・地震時水平力を「機器荷重伝達表」としてフォーマット化して渡すと話が早い。 最後に荷重組合せを整理しておく。施行令第82条の組合せ規定に従い、装置架台では次の5ケースを最低限走らせる。 出典:建築基準法施行令第82条/同第82条の2/AIJ建築物荷重指針 第2章。 安全率の根拠も棚卸ししておく。 安全率の根拠別比較もまとめておく。 数字の大小だけ見ると「アンカーは4、機械は4、同じだから流用してよい」と判断しがちだが、不確定要素の種類が違うので流用は危険だ。出典:機械工学便覧(日本機械学会)/JCAA指針/クレーン等安全規則。 私の標準フローは、(1)装置重量×1.15で長期確定、(2)立地から地震・風・雪のZ・V0・dを引き、(3)設備指針区分でβを決め、(4)Khを分解形式で計算書に明記、(5)転倒Fs≧1.5確認、(6)アンカー引抜と床版押抜きを別葉で添付。このフォーマットに統一してから、客先審査の差し戻しがほぼゼロになった。 最後に若手向けの注意を一つ。荷重設計の計算書は、半年後の自分が見て同じ結果を再現できるレベルで書く必要がある。係数の出典・採用根拠・除外した荷重ケースの理由まで脚注で残しておかないと、変更案件や他物件流用時に必ず迷う。私の場合、各係数の隣に告示番号・条項・採用日付・確認者を1行で書き残す習慣を20代後半でつけてから、自分の図面に責任を持てるようになった。 20代の私に伝えるなら、「Kh=0.3と書く前に、その0.3を5つの係数に分解して書け」の一言に尽きる。荷重設計は法令・告示・指針が層になった世界で、設計者の役目はその層を客先に対して翻訳することだ。係数の出所を語れる設計者が、最後に図面に判子を押せる。 *設計×現場ラボ|@sekkei_tech*
地盤層構成
代表N値
S波速度Vs
推定地盤種別
風化岩・洪積砂礫層
N≧50
Vs≧400m/s
第1種
洪積層中心、沖積層薄い
N=20〜50
Vs=200〜400m/s
第2種
沖積層が厚い軟弱地盤・埋立地
N≦15
Vs<200m/s
第3種
設計用水平震度区分
用途
β代表値
A
重要機器・特定機器(消防防災・医療・指令系等)
2.0
B
一般機器(人命・財産損失大)
1.5
C
一般機器(標準)
1.0
D
軽微な機器・補機
0.6
重心高さの算出と「転倒モーメント」の意味
検討対象
Fs下限
出典
建築構造物の転倒
1.5
AIJ容器構造設計指針
クレーン本体の転倒
1.35
クレーン構造規格(厚労省告示)
据付機械の転倒
1.5
設備耐震指針
鉛直荷重と水平荷重の合成——アンカーボルト引抜力の計算
検討項目
出典
接着系アンカー許容引抜
HILTI技術資料 HIT-RE 500 V3 ETA
金属系アンカー許容引抜
JCAA設計施工指針
コンクリート側コーン破壊
RC規準 16条/ACI 318 Appendix D
床版押抜きせん断
RC規準 15条
設計実務の流れ
ケース
組合せ
検討材料
許容
C1
G + P
長期
SS400 156N/mm² / SUS304 137N/mm²
C2
G + P + S
短期(積雪)
SS400 235 / SUS304 205
C3
G + P + W
短期(風)
同上
C4
G + P + K
短期(地震)
同上
C5
G + P + 0.35S + K
多雪区域短期
同上
検討対象
安全率
出典
玉掛けワイヤ
6以上
クレーン等安全規則第213条
手すり荷重
1000N/m² 集中
労働安全衛生規則第552条解説
機械一般部材
4(脆性材5以上)
JIS B 8265 等
据付架台(建築)
長期F/1.5・短期F
建築基準法施行令第82条
アンカー
3(接着系)/4(金属系)
JCAA指針
安全率
根拠の性質
想定する不確定要素
1.35〜1.5
建築構造(許容応力度設計)
荷重・材料ばらつき+計算モデル誤差
3
接着系アンカー
接着剤経年劣化+施工品質ばらつき
4
金属系アンカー・機械一般
動的繰返し+疲労+施工誤差
5
脆性材料(鋳鉄等)
上記+ノッチ感度・破壊靭性低下
6
玉掛けワイヤ(人命直結)
上記+摩耗・素線切れ・人命リスク


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