🌎 Read in English — Mechanical Design articles for global engineers

アルミ合金の設計活用——軽量化と強度を両立するための知識

アルミ合金の設計活用——軽量化と強度を両立するための知識 実務ノウハウ

はじめに

「軽くしたい」「錆びさせたくない」という設計要求があるとき、アルミ合金は有力な選択肢です。

ただし「アルミは鉄より柔らかい」だけの理解では、設計ミスが起きます。

この記事では、設計者が知っておくべきアルミ合金の種類・特性・設計上の注意点を解説します。

アルミ合金の種類と用途

アルミ合金は添加元素によって特性が異なる。

JIS規格では4桁の数字で種類を表す。

A1000系(純アルミ):

強度は低いが、成形性・耐食性・電気伝導性が高い

→ 食品容器・電線・熱交換器フィン

A2000系(アルミ+銅):

強度が高いが、耐食性が低い(ジュラルミン)

→ 航空機構造材

A5000系(アルミ+マグネシウム):

強度・耐食性・溶接性のバランスが良い

→ 船舶・圧力容器・構造材(最もよく使われるシリーズ)

A6000系(アルミ+マグネシウム+シリコン):

押出加工性が良く、構造部材に多用される

→ サッシ・構造フレーム・自動車部品

A7000系(アルミ+亜鉛):

最高強度クラス(超ジュラルミン・超超ジュラルミン)

→ 航空機・スポーツ用品

鉄との主な違い

比重:

アルミ:2.7 / 鉄:7.8

→ アルミは鉄の約1/3の重量

ヤング率(剛性):

アルミ:70GPa / 鉄:206GPa

→ アルミは鉄の約1/3の剛性

→ 同じ形状では3倍たわみやすい

→ 軽量化には断面形状(I型・箱型)の工夫が必要

熱膨張係数:

アルミ:23×10⁻⁶/°C / 鉄:12×10⁻⁶/°C

→ アルミは鉄の約2倍膨張する

→ 組み合わせ使用時の公差設計に注意

耐食性:

アルミは表面に酸化皮膜(不動態膜)を形成して錆びにくい

→ ただし塩水・アルカリには弱い

表面処理

アルミの主な表面処理:

陽極酸化処理(アルマイト):

電解処理で酸化皮膜を厚くする

→ 硬度・耐食性・絶縁性が向上

→ 染色も可能(装飾目的)

→ 処理後に寸法が変化する(片側約0.01〜0.02mm増加)

硬質アルマイト(硬質陽極酸化):

厚い酸化皮膜(HV300〜500程度)を形成

→ 耐摩耗性が要求される摺動部品に使用

クロメート処理(化成処理):

薄い化成被膜を形成する防食処理

→ 電気電導性を保ちながら耐食性を付与

アルミ設計の注意点

注意①:ねじ穴の強度

アルミの引張強さは鉄の約半分〜1/3

→ ねじ締結力はボルト材質に合わせて計算する

→ ヘリサート(鋼製スプリングインサート)を入れると強度が上がる

注意②:電食(ガルバニックコロージョン)

アルミと銅・真鍮を直接接触させると電食が起きる

→ 異種金属間には絶縁材を介在させる

注意③:切削加工性

アルミは刃物への溶着(構成刃先)が起きやすい

→ 切削速度を上げる・専用工具を使う

→ 図面に「アルミ用エンドミル使用」などの注記は不要だが、

加工者との打ち合わせで確認する

注意④:溶接性

A5000系は溶接性が良い

A6000系・A7000系は溶接割れが起きやすい素材がある

→ 溶接が必要な部位はA5000系を使う

*設計×現場ラボ|機械設計の実務知識を、現場目線で発信しています。*

コメント

タイトルとURLをコピーしました