はじめに
FMEA(Failure Mode and Effects Analysis:故障モードと影響解析)は、設計段階でリスクを洗い出すための手法です。
「難しそう」と感じる方も多いですが、基本的な考え方はシンプルです。
この記事では、機械設計者が現場で使えるレベルのFMEAの基本を解説します。
FMEAの目的
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設計FMEAの目的:
「この設計が失敗するとしたら、どんな理由で、どんな問題が起きるか」を
設計段階で先に考えて、対策を取り込む
→ 試作後・量産後に問題が出てから対応するより
はるかに低コストで問題を防げる
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FMEAの基本的な考え方
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【分析の流れ】
① 分析対象を決める(部品・機能・プロセス)
② 故障モードを列挙する
「この部品が壊れるとしたら、どんな壊れ方をするか」
例:破断、変形、摩耗、腐食、固着、漏れ、外れ…
③ 影響を評価する
「その故障が起きたら、製品・システム全体にどんな影響があるか」
④ 原因を特定する
「なぜその故障モードが起きるか」
設計上の原因:寸法不足、材料選択ミス、公差不足…
使用上の原因:過荷重、環境条件の逸脱…
⑤ リスクを数値化する(RPN)
深刻度 × 発生頻度 × 検出難易度 = RPN(リスク優先数)
⑥ 対策を決める
RPNが高い項目から優先して設計改善・確認方法を追加する
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RPNの評価方法
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【深刻度(Severity)】1〜10点
1〜3 :軽微(ユーザーがほとんど気づかない)
4〜6 :中程度(機能低下・ユーザーが不快に感じる)
7〜8 :重大(機能喪失・一部のユーザーに安全上の問題)
9〜10 :致命的(安全・法規に関わる問題)
【発生頻度(Occurrence)】1〜10点
1〜2 :非常にまれ(ほぼ起きない)
3〜4 :まれ(10万件に1件程度)
5〜6 :時々(1000件に1件程度)
7〜8 :しばしば(100件に1件程度)
9〜10 :高頻度(10件に1件以上)
【検出難易度(Detection)】1〜10点
1〜2 :ほぼ確実に検出できる
3〜4 :高い確率で検出できる
5〜6 :検出できる場合もある
7〜8 :検出が難しい
9〜10 :ほとんど検出できない
【RPN = 深刻度 × 発生頻度 × 検出難易度】
RPN > 100 :優先対応
RPN 50〜100:対策を検討する
RPN < 50 :モニタリング
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設計FMEAの実例(簡易版)
| 部品 | 故障モード | 影響 | 原因 | S | O | D | RPN | 対策 |
|——|———-|——|——|—|—|—|—–|——|
| 締結ボルト | 緩み | 機能喪失 | 振動環境での設計不足 | 7 | 5 | 4 | 140 | 緩み止め(ダブルナット・接着剤)追加 |
| シール材 | 摩耗 | 漏れ | 面圧設計不足 | 6 | 4 | 5 | 120 | 面圧計算見直し・材料変更 |
| 軸受 | 焼き付き | 停止 | 潤滑不足 | 8 | 3 | 4 | 96 | 潤滑設計の見直し |
設計者の実務でのFMEAの使い方
本格的なFMEAは時間がかかります。
1年目・2年目の設計者が現場で使うなら、軽量版のFMEAアプローチで十分です。
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【軽量版:設計者の「想定失敗リスト」】
設計が完成したら、提出前に以下を自問する:
□ この設計の「最も壊れやすい部分」はどこか?
□ 予期しない使われ方をされたら、何が起きるか?
□ 組み立てを間違えたら、どんな問題が起きるか?
□ 長期使用で劣化しやすい部分はどこか?
→ これだけでも、重大な見落としを防ぐ効果がある
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FMEAで大切な考え方
FMEAは「失敗のリストを作ること」が目的ではありません。
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本当の目的は:
「失敗する可能性を設計段階で先につぶすこと」
大切な姿勢:
□ 「こんなこと起きないだろう」と思わない
□ 一人で考えず、製造・品質・顧客の知識を借りる
□ 対策が「設計への反映」になっているか確認する
(「注意する」ではなく「設計で防ぐ」)
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