はじめに
「図面を納品したら設計者の仕事は終わり」と思っていませんか。
量産移行の段階では、設計者にしか答えられない問題が現場から続々と上がってきます。ここで設計者が適切に対応できるかどうかが、製品の品質と現場との信頼関係を左右します。
量産移行で起きること
設計完了後、量産立ち上げの過程で発生する代表的な問題:
加工・製造からの質問:
→ 「この公差では加工が難しい、変更できないか」
→ 「この形状はどこまで許容されるか」
→ 「図面指示と実際の加工の意図が分からない」
組立からの問題:
→ 「部品が干渉して組み立てられない」
→ 「公差のばらつきで組み付けられないものが出ている」
→ 「手順通りに組むと特定の工程が難しい」
品質・検査からの問題:
→ 「検査基準が不明確で合否が判断できない」
→ 「サンプル測定で設計寸法からはずれている部位がある」
量産移行時に設計者が果たすべき役割
役割①:現場の質問に迅速・正確に回答する
→ 加工者・組立者・検査員が判断に迷っているとき
設計意図を明確に伝えることが求められる
→ 「この寸法の管理ポイントは○○の機能に直結するため、
±0.05mm以内を必ず守ってください」のように
機能と公差の関係を説明できる状態にしておく
役割②:設計変更の可否を判断する
→ 「加工しにくいから変えてほしい」という要求に対して、
機能・強度・コストのバランスで判断する
→ 「変えられる」「変えられない(理由付き)」を答える
役割③:図面の解釈を正式な形で残す
→ 口頭でのやり取りは記録に残す
→ 解釈・変更の根拠を変更履歴・図面の注記に反映する
役割④:量産問題を次の設計に活かす
→ 量産で起きた問題は「設計情報」
→ チェックリストへの追加・設計標準の改定につなげる
量産立ち上げで設計者がやってはいけないこと
NGパターン①:現場の変更要求を全部受け入れる
→ 機能・品質に関わる部分まで安易に変更すると品質問題になる
→ 変更の可否は機能・強度の観点から判断する
NGパターン②:口頭だけで対応する
→ 「口で言った通りにやってくれれば」では後で紛争になる
→ 変更・解釈は必ず文書(メール・変更指示書等)で残す
NGパターン③:問題を隠す
→ 量産で起きた設計問題を設計者の判断だけで処理すると
後で大きな品質問題になることがある
→ 重大な問題は上司・関係部署に報告して対応を決める
量産立ち上げを通じて設計力を上げる
量産立ち上げは「設計の成績表」が出る場。
製造・組立・検査から得られるフィードバックは
次の設計に活かせる最高の情報源。
記録しておくべきこと:
□ どの部位で問題が起きたか
□ 設計段階では想定できていたか、想定外だったか
□ 設計変更した内容と根拠
□ 次の設計で気をつけること
→ これを積み上げることで
「作りやすく、組み立てやすく、検査しやすい設計」
ができる設計者になる
*設計×現場ラボ|機械設計の実務知識を、現場目線で発信しています。*



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