はじめに
機械装置を屋外・粉塵環境・洗浄が必要な環境で使う場合、防塵・防水設計が必要になります。
IP等級を理解して適切な保護構造を設計できると、装置の信頼性と寿命が大きく変わります。
IP等級とは
IP等級(Ingress Protection Rating):
IEC 60529(JIS C 0920)で規定された
電気機器の外郭による「固形物侵入」と「水の侵入」に対する
保護等級の規格。
表記:IP○○(2桁の数字)
第1数字:固形物(塵埃)に対する保護等級(0〜6)
第2数字:水に対する保護等級(0〜9K)
例:IP65
→ 第1数字「6」:粉塵が内部に侵入しない(完全防塵)
→ 第2数字「5」:あらゆる方向からの噴流水に対して保護
IP等級の詳細
【第1数字:固形物・塵埃の保護等級】
0:保護なし
1:50mm以上の固形物(手のひら程度)を防ぐ
2:12.5mm以上の固形物(指程度)を防ぐ
3:2.5mm以上の固形物を防ぐ
4:1mm以上の固形物を防ぐ
5:粉塵の侵入を完全には防げないが有害な量を防ぐ
6:粉塵の侵入を完全に防ぐ(完全防塵)
【第2数字:水の保護等級】
0:保護なし
1:鉛直方向の落水を防ぐ
2:15度傾斜での落水を防ぐ
3:60度以内からの散水を防ぐ
4:全方向の散水を防ぐ
5:全方向からの噴流水を防ぐ
6:全方向からの強力噴流水を防ぐ
7:規定条件での水中浸漬に耐える(0.15〜1m、30分)
8:継続的水中使用に耐える(条件はメーカーが指定)
9K:高圧・高温洗浄水に耐える(IEC 60529改訂で追加)
現場でよく使われるIP等級の目安
屋内・清浄環境:IP20〜IP30程度
→ 一般的な制御盤
粉塵が多い工場:IP54〜IP65
→ 工作機械・産業用機器
屋外設置:IP65以上
→ 雨・風・塵に対応が必要
食品・製薬(水洗い必要):IP65〜IP67
→ 高圧洗浄水がかかる可能性がある
水中使用:IP67〜IP68
→ 水中ポンプ・水中センサー
防塵・防水設計の実践ポイント
【シールの選定】
Oリング・ガスケットで開口部をシールする
→ Oリングのつぶし代・材質をIP要求に合わせて設計する
【ケーブル引き込み部】
ケーブルグランド(防水コネクター)を使用する
→ IP等級に対応したグランドを選ぶ
→ ケーブル外径とグランドのサイズを合わせる
【通気・排気】
密閉構造では内部が高温になるため、
防水通気フィルター(ゴアテックス系)を使って
気圧調整しながら防水を保つ設計がある
【排水設計】
水が浸入した場合に備えて、底部に排水穴(ドレン)を設ける
→ 小さいドレン穴を設けることでIP等級を保ちながら排水できる
設計チェックリスト
□ 使用環境に必要なIP等級を明確にした
□ 開口部(ドア・ケーブル引き込み・操作パネル)のシール設計をした
□ シール材の材質が使用環境(温度・薬品)に適合している
□ ケーブルグランドのIP等級が要求値以上
□ 防水通気フィルターまたは排水設計を盛り込んだ
□ IP試験は完成品での確認が必要か検討した
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