個人事業主の機械設計者が使うべき会計ソフト——freee・マネーフォワードを20年の確定申告経験から比較する
はじめに
機械設計者として個人事業主でも活動している。確定申告の経験は20年以上になる。
以前は紙と電卓で帳簿をつけ、確定申告書を手書きで作っていた時代もあった。
今はクラウド会計ソフトを使うことで、年間の作業時間が大幅に短縮された。
この記事では、個人事業主として機械設計業を営む方、または副業・フリーランスで設計案件を請け負っている方に向けて、会計ソフトの選び方と実際の使い勝手を解説する。
個人事業主の機械設計者に必要な会計処理
まず、機械設計者が個人事業主として活動する場合に必要な会計処理を整理する。
収入(売上)
- 設計業務の委託料・請負代金
- コンサルティング料
- 技術顧問料
主な経費
| 経費項目 | 具体例 |
|---|---|
| CADソフト・サブスク | SolidWorks ライセンス、Fusion 360 など |
| 書籍・技術資料 | JIS規格集、機械設計関連書籍 |
| 通信費 | 業務用インターネット、スマホ(按分) |
| 交通費 | 打合せ・現場確認への移動費 |
| 設備・工具 | PC、マウス、測定器具 |
| 事務所費・光熱費 | 自宅兼事務所の場合は按分 |
| 外注費 | 一部業務を他者に委託した場合 |
税務上の注意点
- 消費税:課税売上が1,000万円を超えると消費税の課税事業者になる
- インボイス制度:取引先が法人の場合、適格請求書発行事業者の登録を求められることがある
- 青色申告:正規の簿記(複式簿記)で帳簿をつけると65万円の特別控除が使える
クラウド会計ソフトを使うべき理由
手書き・エクセルから、クラウド会計ソフトに移行した人が感じるメリットは大きい。
自動仕訳機能
銀行口座・クレジットカードを連携すると、取引が自動で取り込まれ、仕訳の候補を提案してくれる。毎月の入力時間が大幅に短縮される。
確定申告書の自動作成
帳簿が整っていれば、確定申告書(青色申告決算書・収支内訳書)がボタン一つで作成できる。電子申告(e-Tax)にも対応している。
クラウドなので場所を選ばない
現場や出先からでもスマホで入力・確認できる。
freee vs マネーフォワードクラウド——実際に使った比較
freee(フリー)
特徴
- とにかく操作が直感的。簿記の知識がなくても使いやすい画面設計
- 「取引」という概念で入力するため、「借方・貸方がわからない」初心者でも始めやすい
- スマホアプリが使いやすい
機械設計者にとってのメリット
副業・フリーランス初心者で、簿記の知識がない状態から始めるなら、freeeの方が挫折しにくい。
CADの操作を覚えるのと同じで、「最初の壁を低くする」という意味ではfreeeが優れている。
価格(個人事業主向け)
- スターター:月980円(年払いで月750円)
- スタンダード:月1,980円(年払いで月1,480円)
マネーフォワードクラウド確定申告
特徴
- 簿記の知識がある人には使いやすい。借方・貸方の概念で入力する
- 銀行・クレカの連携機能が豊富で、自動仕訳の精度が高い
- 法人設立後も同じシリーズで対応できる(スケーラビリティが高い)
機械設計者にとってのメリット
設計業務と同様に「ルールを理解して正確に処理する」タイプの人には、マネーフォワードの方がしっくりくるケースが多い。
また、将来的に法人化を視野に入れているなら、マネーフォワードで始めた方がスムーズに移行できる。
価格(個人事業主向け)
- パーソナルミニ:月880円(年払いで月800円)
- パーソナル:月1,280円(年払いで月1,100円)
どちらを選ぶべきか——判断チャート
簿記の知識がない、これから個人事業主になる
→ freee がおすすめ
簿記の基礎はある、自動仕訳の精度を重視したい
→ マネーフォワードクラウドがおすすめ
将来法人化を考えている
→ マネーフォワードが移行しやすい
スマホでの操作を重視する
→ freeeのアプリが使いやすい
どちらも無料トライアルがあるので、実際に触ってみて使いやすい方を選ぶのが一番だ。
インボイス制度と個人事業主の機械設計者
2023年10月からインボイス制度が始まった。
機械設計の業務委託を受ける場合、取引先が法人であれば、適格請求書発行事業者(インボイス登録)を求められることが多い。
登録していないと、取引先が仕入税額控除を受けられないため、実質的に値引きを求められたり、取引を敬遠されるケースがある。
freee・マネーフォワードとも、インボイス対応の請求書作成機能が搭載されている。会計ソフトを選ぶ際は、この点も確認しておくことを勧める。
確定申告を毎年スムーズに終わらせるコツ
20年以上の確定申告経験から、実務的なコツを伝える。
① 月次で帳簿をつける習慣を作る
「年末に1年分をまとめてやる」は地獄だ。
毎月1回、30分〜1時間で帳簿を整理する習慣をつけると、年末の作業が激減する。
② レシートは当日スキャン
最近のクラウド会計はレシートをスマホで撮影するだけで、OCR読み取りで自動入力される。
後でまとめてやろうとすると必ず失くす。
③ 経費の「按分」は一定のルールで
自宅兼事務所の光熱費・通信費は、事業使用割合で按分する。
割合は一度決めたら毎年同じにするとシンプルだ(例:通信費は60%を事業経費)。
④ 青色申告を選ぶ
白色申告より手間はかかるが、65万円の青色申告特別控除は大きい。
クラウド会計ソフトを使えば、複式簿記も自動でやってくれるため、手間の差は実質ほとんどない。
まとめ
| 項目 | freee | マネーフォワードクラウド |
|---|---|---|
| 初心者のとっつきやすさ | ◎ | ○ |
| 簿記知識ある人の使いやすさ | ○ | ◎ |
| 銀行・カード自動連携 | ◎ | ◎ |
| インボイス対応 | ◎ | ◎ |
| 将来の法人化対応 | ○ | ◎ |
| 価格(年払い) | 月750円〜 | 月800円〜 |
どちらも月1,000円前後で、確定申告の手間を大幅に削減できる。
設計業務で稼ぐ時間を守るためにも、会計はツールに任せることを強く勧める。
この記事を書いた人:機械設計×現場ラボ管理人(個人事業主として機械設計業を運営・確定申告歴20年以上)



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