はじめに
機械設計者は「機械の形を設計する仕事」ですが、プラント設備や搬送設備を手がけるなら、制御との接点は避けられません。
私は長年、プラント設備・搬送設備の設計に携わってきました。電気設計者とのやり取りや、PLCプログラムを確認する機会は数え切れないほどありました。
「制御はわからない」と割り切ってしまうと、電気設計者との打ち合わせで話が噛み合わなかったり、自分の設計した機械が思った通りに動かない原因がつかめなかったりします。この記事では、機械設計者が知っておくべき制御の基礎知識を整理します。
PLCとは何か
PLC(Programmable Logic Controller)は、工場の機械・設備を自動制御するための専用コンピュータです。
【PLCの基本的な仕組み】
入力(センサ等)→ PLC(プログラム処理)→ 出力(アクチュエーター等)
入力の例:
・リミットスイッチ(部品が定位置に到達したか)
・光電センサ(物体の有無)
・圧力センサ(規定圧力に達したか)
・非常停止スイッチ(作業者が操作)
出力の例:
・電磁弁(エアシリンダ・油圧シリンダのON/OFF)
・コンタクタ(モーターのON/OFF)
・表示灯・警報ブザー
PLCは「入力の状態を読んで、プログラムに従って出力を制御する」機械
→ ラダー図(シーケンス図)と呼ばれるプログラム言語で記述される
機械設計者が知っておくべき範囲
センサの種類と配置
【よく使うセンサと設計上のポイント】
センサ種類 用途 設計上の注意点
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リミットスイッチ 機械的な位置検出 取り付け位置・ストロークの設計が必要
光電センサ 物体の有無・通過検出 光軸の向き・取り付け面の確保
近接センサ 金属部品の位置検出 センサと検出物の距離(検出距離)の確認
圧力スイッチ 圧力の閾値検出 圧力配管の設計と接続口の確保
エンコーダ 回転・移動量の検出 軸・カップリングの設計が必要
機械設計者としては、「センサが機能するための取り付けスペース」と「センサケーブルの配線ルート」を設計段階で確保することが重要です。
アクチュエーターとの接続
【アクチュエーターとPLCの関係】
エアシリンダ:
→ 電磁弁(ソレノイドバルブ)でエアの向きを切り替える
→ PLCは電磁弁のコイルをON/OFFする
→ 機械設計者は「電磁弁の取り付け位置」「配管スペース」を確保する
モーター:
→ インバーター・コンタクタでON/OFF・速度制御
→ PLCはインバーターに指令信号を送る
→ 機械設計者はモーター・ギヤヘッドの選定と取り付けを担当する
サーボモーター:
→ サーボアンプがPLCの指令を受けて位置・速度・トルクを制御
→ 機械設計者は「送り精度・剛性・バックラッシュ」を考慮した機構設計をする
インターロックの考え方
【インターロックとは】
「ある条件が成立しないと、次の動作が開始されない」制御ロジック
例:
・安全扉が閉じていないと機械が動かない(安全インターロック)
・前工程が完了していないと次の工程が動かない(シーケンスインターロック)
・圧力が規定値に達していないとシリンダが動かない(条件インターロック)
機械設計者がやること:
→ インターロックに必要なセンサ・スイッチを漏れなく設計に組み込む
→ 「どのタイミングで何を検知する必要があるか」を電気設計者と擦り合わせる
電気設計者との連携ポイント
【設計初期段階で電気設計者と共有すること】
□ 使用するセンサ・アクチュエーターのリスト
□ センサの取り付け位置(図面に明記)
□ 配線ルートのスペース確保(配線ダクト・ケーブルキャリアの経路)
□ 電磁弁・制御盤の配置と固定方法
□ 安全カテゴリ・機能安全の要求レベル
□ インターロックの条件リスト(どの状態でどの動作を制限するか)
早い段階での共有が後工程の手戻りを大幅に減らす
まとめ表
| 知識領域 | 機械設計者が知っておくべきこと | 電気設計者に任せること |
|---|---|---|
| センサ | 種類・取り付けスペース・検出距離 | 配線・信号処理・パラメータ設定 |
| アクチュエーター | 機構設計・電磁弁スペース | 電気接続・制御プログラム |
| インターロック | 必要な検知ポイントの設計 | ラダー図への実装 |
| PLCプログラム | 動作シーケンスのイメージ把握 | 実際のプログラム作成 |
制御を「電気の仕事」と割り切らず、動作シーケンスを機械設計者自身がイメージできるようになると、設計の質が一段上がります。
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