はじめに
樹脂部品の設計は、金属部品とは異なる「樹脂加工特有のルール」を理解することが必要です。
特に射出成形(インジェクション成形)で作る部品では、抜き勾配・肉厚・ゲート位置の3つが設計品質を大きく左右します。
射出成形の工程
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溶けた樹脂を金型に高圧で射出する
↓
冷やして固める
↓
金型を開いて取り出す(抜く)
↓
バリ取り・仕上げ
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この「金型を開いて取り出す」工程がスムーズにいかないと、
成形不良・金型破損・寸法不良が発生します。
設計ポイント①:抜き勾配(テーパー)
型から部品を取り出すには、型に当たる面に傾き(抜き勾配)が必要です。
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【抜き勾配の目安】
一般的な樹脂部品:1〜3°
深い形状(リブ・ボス):1〜2°以上
外観面:0.5〜1°(最低限)
シボ(テクスチャ)がある面:シボ深さに応じて追加(0.05mm/0.25mm ごとに+1°目安)
【勾配がないとどうなるか】
→ 型から部品が抜けない(型に引っかかる)
→ 引っ張って抜くと変形・傷が発生する
→ 金型寿命が短くなる
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【設計のコツ】
CADでモデリングするとき、最初から抜き方向(型開き方向)を決めて
その方向に対してドラフト(勾配)をつける
→ SolidWorksは Insert → Features → Draft で勾配をつけられる
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設計ポイント②:肉厚の均一化
樹脂は冷却時に収縮します。
肉厚が不均一だと、厚い部分が遅く固まり「ヒケ(沈み)」や「反り」が発生します。
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【基本ルール】
肉厚はできるだけ均一にする
→ 目安:全体の肉厚差は20〜30%以内
【よく使う肉厚の目安(一般樹脂の場合)】
小型部品(100mm程度以下):1.5〜3mm
中型部品(100〜300mm程度):2〜4mm
大型部品:3〜5mm
【厚肉部分が必要な場合の対策】
コアアウト(中をくり抜く):
厚い部分の内側をくり抜いて、ほぼ均一な肉厚にする
→ 外観に影響しない面からくり抜く設計が基本
リブを使う:
肉厚を増やすかわりにリブ(補強板)で剛性を確保する
リブ厚は外壁肉厚の50〜60%が目安(ヒケ防止)
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設計ポイント③:ゲート位置
ゲートは樹脂が金型に流れ込む入口です。
ゲートの位置が悪いと、充填不良・ウェルドライン(継目のスジ)・反りが発生します。
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【ゲート位置の基本原則】
1. 肉厚の厚い部分に近い位置に置く
→ 薄い部分から厚い部分への流れは充填不良になりやすい
2. 外観面を避ける
→ ゲート跡(ゲートマーク)が残るため
3. 流れが均等になる位置に置く
→ 部品の中心付近に置くと均等に流れやすい
【ウェルドライン(合流ライン)に注意】
樹脂が2方向から流れてきて合流する箇所に「ウェルドライン」が発生する。
ウェルドラインは強度が低く、外観不良にもなる。
→ 強度が必要な部位や外観重視の面にウェルドラインが来ないよう
ゲート位置を調整する
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その他の設計上の注意点
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【アンダーカット(型が抜けない形状)を避ける】
抜き方向に対して「引っかかり」になる形状がアンダーカット。
スライドコア(可動型)が必要になり、金型コストが上がる。
→ アンダーカットを避けるか、スライドが必要かを早期に確認する
【コーナーのR】
樹脂部品の内コーナーはRをつけることが必須に近い。
Rなしのシャープなコーナーは応力集中が起き、破損しやすい。
内コーナーR:肉厚の25〜75%が目安
外コーナーR:内コーナーR + 肉厚
【穴・ボスの設計】
ボス(ネジ穴のための突起)の外径:内径の2倍が目安
ボスの根元はフィレットで補強する
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樹脂設計チェックリスト
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□ 抜き勾配は十分についているか(1°以上が目安)
□ 肉厚は均一か、または差が20〜30%以内か
□ 厚肉部分はコアアウトまたはリブで対応しているか
□ リブ厚は外壁肉厚の50〜60%以内か
□ ゲート位置は外観面・強度要求面を避けているか
□ アンダーカットが発生していないか
□ 内コーナーにRがついているか
□ ボスの外径は内径の2倍程度あるか
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