はじめに
部品点数が多くなると、CATIAのアセンブリ(Product)は動作が重くなります。
表示が遅い・操作がもたつく・保存に時間がかかる——こうした問題は、データの扱い方を変えることで改善できます。
この記事では、大規模アセンブリを扱う設計者が知っておくべき管理術を解説します。
なぜアセンブリが重くなるのか
CATIAのアセンブリが重くなる主な原因:
①部品点数が多い
→ 全部品のデータをメモリに読み込むため
②複雑な形状の部品が多い
→ 面の数が多い部品(特に輸入データ)はメモリ消費が大きい
③全部品を表示したまま作業している
→ 使っていない部品まで表示すると無駄に重くなる
④拘束が複雑に絡まっている
→ 不要な拘束・エラー拘束がアセンブリの更新を遅らせる
Visualization Mode(軽量表示)の活用
CATIAのVisualization Mode:
部品の表示だけを行い、編集機能を無効にする軽量モード
設定方法:
部品を右クリック → Representations → Visualization Mode
効果:
全部品がDesign Modeのままより大幅に軽くなる
運用ルール:
→ 今編集している部品だけDesign Modeにする
→ 参照するだけの周辺部品はVisualization Modeにする
【注意】
Visualization Modeの部品は干渉チェック・測定に使えない場合がある
Flex Component(フレキシブルサブアセンブリ)の使い方
通常のサブアセンブリ(Sub-Assembly)は
そのアセンブリ内で固定された動きをする。
Flex Componentにすると:
→ 上位アセンブリの中でサブアセンブリ内の部品を
個別に拘束・動作させられる
活用場面:
・シリンダーのロッド伸縮をアセンブリ内で表現したいとき
・同じサブアセンブリを複数配置し、それぞれ異なる状態にしたいとき
設定:
サブアセンブリを右クリック → Flexible/Rigid Sub-Assembly
部品の表示管理と作業効率
【表示管理の基本操作】
Hide/Show(Spaceキー):
不要な部品を非表示にして画面を整理する
Activate/Deactivate(非アクティブ化):
部品を計算対象から外す
→ 更新処理の対象が減り、操作が速くなる
Filters(フィルター):
特定の部品群だけを表示する条件を設定できる
→ 「電装部品だけ表示」「外装カバーだけ非表示」などが可能
【作業効率を上げるコツ】
・作業対象の部品以外は非表示にする習慣をつける
・保存前に「使用しない部品はVisualization Modeに戻す」
アセンブリデータの整理習慣
□ サブアセンブリを適切に分割し、1つのProductに詰め込まない
□ 購入品・標準品は形状を簡略化したモデルを使う
□ 参照リンクが切れた部品(赤×マーク)を定期的に確認・修正する
□ 不使用の拘束(エラー状態の拘束)を削除する
□ ファイルの保存先パスに日本語・スペースを使わない
大規模アセンブリで止まらないための実践術
装置設計では1000点を超えるアセンブリが珍しくありません。CATIAは強力ですが、何も対策せずに開くと「再生成に5分」「視点回転がカクつく」「ファイル保存に2分」といった事態になります。
20年の経験で確立した「重くしない原則」は3つです。
① 表示しないものは読まない:DMU Visualization Mode(カタログ表示モード)を使えば、形状情報を軽量化して表示できます。詳細形状が必要なときだけCach化されたフルパーツをロード。
② 参照アセンブリで分割する:1ファイルに全部入れず、「フレーム」「機構部」「電気部品」などサブアセンブリで分けてリンクする。担当者ごとに独立して作業できる副次効果も大きい。
③ キャッシュとローカル保存を意識する:ネットワーク越しの読み込みは遅い。一時的にローカル作業領域へコピーし、定期的にネットワークと同期する運用が現実的。
よくある失敗パターン
① 過去案件のテンプレートをそのまま流用:不要な参照や使わない部品ライブラリが残ったまま開いて重くなる。流用時は不要部品を削る手間を惜しまない。
② 履歴を残しすぎる:パートの修正履歴・参照履歴が大量に残ると再生成が遅くなる。節目ごとに「履歴削除&Save As Specifications」で整理。
③ アセンブリ拘束を過剰に付ける:1部品に5つも6つも拘束を入れると、再生成のたびに全部評価される。最小限の拘束で固定する。
④ 部品の表示・非表示を都度切り替えない:見えない部品も計算対象になる。Hideではなく「Activate/Deactivate」で計算自体から外す。
FAQ
Q. PCスペックを上げれば解決しますか?
A. 半分は解決します。CPUクロックとSSD速度が効きます。ただし運用側の工夫がないと、どんなPCでも10万点クラスでは止まります。
Q. クラウドCAD(Onshape等)に切替えるべき?
A. 大企業の標準が決まっている場合は難しいですが、新規プロジェクトなら検討価値あり。データのレスポンスは設計者のストレスに直結します。
Q. 軽量化のために何を真っ先にやるべき?
A. ①使っていない参照を削除 ②サブアセンブリで分割 ③表示モードをVisualization中心に。この3点で半分以上の体感速度改善が見込めます。
関連トピックと次のステップ
大規模アセンブリの管理と相性が良いのが「DMU干渉チェック」と「2D/3D整合管理」。アセンブリが整理されていないと、干渉確認も2D化も後工程で詰まります。
関連記事「CATIAのDMU入門」「2D図面と3DCADデータの整合管理」もあわせて。
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