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CATIAのDMU入門——デジタルモックアップで干渉チェックをする方法

CATIAのDMU入門——デジタルモックアップで干渉チェックをする方法 実務ノウハウ

はじめに

DMU(Digital Mock-Up)は、CATIAのアセンブリデータを使って実際に部品を組み立てる前に干渉・クリアランスを確認する機能です。

試作前に干渉を発見できれば、手戻りのコストと時間を大幅に削減できます。

この記事では、CATIAのDMUを使った干渉チェックの基本を解説します。

DMUでできること

DMUの主な機能:

①干渉チェック(Clash Detection)

→ 部品同士が重なっている箇所を検出する

②クリアランス確認(Clearance Analysis)

→ 設定した距離以下に近接している箇所を検出する

③動作シミュレーション(DMU Kinematics)

→ 機構の動作軌跡と干渉を確認する

④断面確認(Section)

→ 任意の断面でアセンブリの内部構造を確認する

干渉チェックの基本手順

【手順】

① Analyze メニュー → Clash を選択

② 対象の指定方法を選ぶ

・「All Against All」:全部品間で干渉チェック

・「Selected Against All」:選んだ部品と全部品を比較

・「Selected Against Selected」:指定した2グループ間で比較

③ Compute(計算実行)

④ 結果の確認

・Clash(干渉):赤表示 → 部品が重なっている

・Contact(接触):黄表示 → 面が接触している

・Clearance(近接):緑表示 → 設定距離以内に接近

⑤ 結果リストの干渉箇所をダブルクリック

→ 干渉している箇所にズームして確認できる

クリアランス値の設定

配線・ホース・熱の影響などを考慮する場合は、

「接触していないが近すぎる」箇所も検出したい。

設定方法:

Clash ダイアログ → Clearance に距離を入力(例:5mm)

→ 5mm以内に近接している部品を黄色でリストアップ

活用場面:

・可動部と固定部の最小クリアランス確認

・熱を発する部品の周囲への余裕確認

・組み立て作業の工具スペース確認

Section(断面)での確認方法

アセンブリの内部構造を確認したいとき:

① View メニュー → Section → Section Plane

② 断面を切る位置・方向を設定する

③ 断面図として確認する

→ 内部部品の重なり・隙間が視覚的に分かる

【活用場面】

・多層構造の内部干渉確認

・シール面の当たり確認

・配管ルートの通過確認

DMUチェックを設計フローに組み込む

効果的な運用タイミング:

① 設計の大枠が固まったとき(全体干渉の有無を確認)

② 設計変更後(変更が他部品に影響していないか確認)

③ 設計完了時(最終確認として全体チェック)

DMUチェックリスト:

□ 全部品間の干渉チェック(Clash = 0)

□ 可動部の動作範囲での干渉なし

□ 取り付けスペース・工具スペースのクリアランス確認

□ 断面確認で内部構造に問題なし

DMUで干渉を見つけるだけでは不十分

DMU Navigatorは強力ですが、「干渉していない=組立できる」ではありません。実際の現場では、干渉していなくても「工具が入らない」「手が届かない」「組立順序的に先に入れた部品で塞がれる」という別次元の問題が頻発します。

私が客先常駐先で実施していたのは、DMUの干渉チェックに加えて「組立順序シミュレーション」と「作業空間チェック」を併用することでした。

具体的には、組立図に作業手順を番号で振り、各ステップでDMU上に「人の手」を表すダミーモデル(直径φ80×長さ200程度)を配置してアクセス性を確認します。CADでは存在しない「人間」を、設計者の頭の中で必ず通すことが大切です。

よくある失敗パターン

① 静止状態の干渉だけ見る:可動部の動作軌跡が他部品と干渉するケースを見落とす。Movementや Kinematicsを併用する。

② 工具・治具を考えない:六角レンチが入らない、トルクレンチの首振りスペースがない、を後で現場から指摘される。

③ 配管・配線を後付けで考える:機械設計が完了してから配管屋・電装屋に渡すと、ルートが取れずに設計やり直し。同時並行で進める。

④ 過去のDMU結果を信用しすぎる:設計変更後に再チェックを忘れる。チェックリストに「変更後DMU再実施」を必ず入れる。

FAQ

Q. DMUの操作を覚えるのにどれくらい時間がかかりますか?
A. 基本操作(シーン作成・干渉判定・断面表示)は2〜3日で習得可能。本格的に活用するには3ヶ月程度の実プロジェクトでの使用が必要です。

Q. DMUで人の動きまでシミュレートできますか?
A. 専用のHuman Builderモジュールがあれば可能ですが、ライセンスが高額。多くの現場では汎用の「シンプルダミー」で十分機能します。

Q. 干渉チェックの結果が大量に出て対処しきれません
A. クリアランス値を段階的に設定すると優先度が分かります。-1mm以上の食い込み→赤、0〜1mm→黄、それ以上→緑、のように色分けすると判断が早い。

関連トピックと次のステップ

DMUと相性が良いのが「パラメトリック設計」と「大規模アセンブリ管理」。寸法変更→DMU再チェック→2D図面更新の一連サイクルを整備すると、設計変更が怖くなくなります。

関連記事「CATIAアセンブリの大規模データ管理」「2D図面と3DCADデータの整合管理」もあわせて。

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