はじめに
3DCADと2D図面を並行して使う現場では、「3Dモデルを修正したのに2D図面が古いまま」「図面とモデルの寸法が違う」という整合ズレが起きやすい。
このズレは、加工ミスや品質問題の原因になります。
この記事では、2D図面と3DCADデータの整合を保つための運用方法を解説します。
整合ズレが起きる主な原因
原因①:3Dを変えたが図面の更新を忘れた
→ 変更が片方だけに反映されてズレが生まれる
原因②:図面だけを直接修正した
→ 3Dモデルは古いまま。後から3Dを修正すると再びズレる
原因③:2D図面が3Dから独立して管理されている
→ どちらが正しいか分からなくなる
原因④:複数の人が別々に作業している
→ 誰かが変えた情報が別の人に伝わっていない
「3Dを正(マスター)」にする原則
整合管理の基本方針:
「3Dモデルを正しい形状のマスターデータとする」
→ 3Dモデルを変えたら、必ず2D図面も更新する
→ 2D図面だけを直接修正しない
この方針を守れば:
・3Dと2Dの食い違いが起きにくくなる
・後から3Dを参照した人が正しい形状を見られる
【ただし例外】
2Dのみで管理している現場では「2D図面が正」になる。
いずれにせよ「どちらが正か」を職場のルールとして明確にしておく。
CATIAでの2D更新の流れ
CATIAのDraftingは3Dモデルと連動している。
3Dモデルを変更した後:
①Draftingを開く
②更新マーク(黄色の警告)が出ている図が対象
③Update All で図面を3Dに同期させる
【注意点】
・寸法は自動更新されるが、注記・指示文は手動で確認する
・追加した形状(フィーチャー)は投影ビューに自動反映されない場合がある
→ 手動でビューを追加・修正する
・ビューの向きが意図通りか必ず確認する
マイクロキャダム・ICAD(2D独立環境)での整合管理
2DCADと3DCADが独立している環境では、
自動連動がないため運用ルールが重要になる。
【運用ルール例】
変更時のフロー:
1. 3Dモデルを修正する
2. 修正箇所をメモ(変更点リスト)
3. 2D図面の対応箇所を修正
4. 図面改訂番号を更新(例:Rev.A → Rev.B)
5. 変更内容を図面内の改訂欄に記録
改訂欄の記録項目:
改訂番号 / 日付 / 変更内容(1行で) / 担当者
ファイル管理と命名規則
2DデータとCADデータの対応が分かるよう、
命名規則を統一しておくと管理が楽になる。
例:
3Dファイル:PA-1234-001.CATPart
2Dファイル:PA-1234-001.dxf(または .dwg / .iba)
→ 図番で紐付けられる
フォルダ構成例:
/PA-1234-001/
├ 3D/
│ └ PA-1234-001_RevB.CATPart
└ 2D/
└ PA-1234-001_RevB.iba
【保存の注意】
最新版と旧版を同じフォルダに混在させない
→ 旧版は「Archive」フォルダに移動する
2D/3D不整合が現場で起きる典型パターン
「3Dは合っているのに2Dが古い」「2Dの寸法と3Dのモデルがズレている」——この現象は、量産フェーズで必ず1度は経験する話です。20年の経験から、根本原因はほぼ「出図ルールの曖昧さ」に集約されます。
具体的な不整合パターンは次の3つに分類できます。
① 修正後の出図忘れ:3DCADで修正した部品の2D図面を出し直すのを忘れ、現場には古い2Dが流れる。
② 寸法手入れ後の3D未反映:2D図面上で寸法を手動で変更(CADから外れた値)してしまい、3Dとの整合が崩れる。
③ 部品表(BOM)と図面の不一致:3Dアセンブリのツリーと部品表が分離管理されていて、片方の更新がもう片方に伝わらない。
よくある失敗パターン
① 出図履歴を残さない:「どの版を現場に渡したか」が記録されないと、後で照合できない。
② 修正の責任者が不明確:「設計・製図・チェック」のうち誰が最終責任を持つかが決まっていないと、修正漏れが起きる。
③ 緊急変更時の手書き対応が常態化:「とりあえず現場の2Dに手書きで修正」が定着すると、CAD上の正本との乖離が広がる。
④ 部品表ソフトと3D CADが連携していない:手作業転記が前提だと、ヒューマンエラーが必ず混入する。
FAQ
Q. 整合管理のための運用ルールはどう決めるべき?
A. 最低限「①出図時の図番・版管理ルール」「②修正の承認フロー」「③現場への配布記録」の3つを文書化します。組織規模に応じて細分化。
Q. PDM/PLMを入れれば解決しますか?
A. ツール導入だけでは不十分。運用ルールが先で、ツールはその支援です。ルール無しでPDM導入しても、結局Excel管理に戻る組織が多いです。
Q. 小規模設計部署でも整合管理は必要?
A. 必要です。むしろ少人数の方が「暗黙のルール」に頼りがちで、担当変更時に破綻します。早期に文書化を。
関連トピックと次のステップ
整合管理と相性が良いのが「CATIA DMU」と「大規模アセンブリ管理」。CAD側の運用が整って初めて、整合管理ルールが機能します。
関連記事「CATIAのDMU入門」「CATIAアセンブリの大規模データ管理」もあわせて。
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