はじめに
試作機を作るのは「設計が正しいかを確認するため」ですが、試作で得た情報を設計に適切にフィードバックできているかは別の話です。
試作を終えた後に「問題は解決したが、なぜ起きたかよく分からなかった」という状態では、次の設計に活きません。
試作の目的を明確にする
試作の目的は1種類ではない。目的によって評価内容が変わる。
形状確認試作:
→ 3Dモデルで確認できない「干渉・納まり」を確認する
→ 評価:組立性・干渉・見た目
機能試作:
→ 設計した機構が意図通りに動くかを確認する
→ 評価:動作の確認・機能の達成可否
強度・耐久試作:
→ 想定荷重・繰り返し動作での耐久性を確認する
→ 評価:破壊モード・疲労寿命・安全率
量産性確認試作:
→ 大量生産時の組立・加工の問題点を事前に洗い出す
→ 評価:組立工数・加工精度の安定性・コスト
→ 「何を確認するための試作か」を試作前に明確にしておく
試作前に準備すること
試作計画書の作成:
①試作の目的・確認項目
②評価方法・合否判定基準
③試験条件(荷重・温度・回数等)
④担当者と役割
⑤完了期限
合否判定基準を事前に決める理由:
→ 基準がないと「なんとなく合格」「なんとなく不合格」になる
→ 後から「あの試作は何を確認したのか」が分からなくなる
設計者の役割:
→ 試作中は現場に立ち会う(できれば)
→ 予期しない動作・破壊が起きたとき、その場で観察する
試作結果の分析と記録
試作後に記録すること:
①確認項目ごとの結果(合格/不合格/条件付き合格)
②問題が発生した場合:
→ どのような問題か(具体的に)
→ どの部品・箇所で起きたか
→ 何回目・どの条件で起きたか
③写真・計測データを添付する
④根本原因の仮説(なぜ起きたか)
⑤設計変更の方針(どう直すか)
【重要】
「うまくいかなかった」だけの記録では意味がない。
「なぜうまくいかなかったか」の分析が次の設計に活きる。
試作の問題から設計を改善する
問題発生時の分析フロー:
1. 現象を正確に把握する(何が、どのように、いつ起きたか)
2. 根本原因を探る(5なぜ分析・FTA等)
3. 設計変更の方針を決める
・形状変更・材質変更・処理の追加
・寸法変更・公差の見直し
4. 変更を図面・計算書に反映する
5. 再試作で変更効果を確認する
設計者が注意すること:
→ 「試作で問題が出るのは当たり前」という視点を持つ
→ 問題を「設計失敗」と捉えずに「設計情報を得た」と捉える
→ 問題を次の設計に活かすための記録を残す
*設計×現場ラボ|機械設計の実務知識を、現場目線で発信しています。*



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