はじめに
「BOM(Bill of Materials)」とは、製品を構成する全部品の一覧表です。
設計者が図面を描くだけでなく、BOMを正確に管理することが製造・調達・品質管理のすべての起点になります。
この記事では、機械設計者がBOMに関わる上で知っておくべき基本を解説します。
BOMとは何か
“`
【BOMの役割】
製造部門:「この製品に何の部品が何個いるか」を把握する
調達部門:「どの部品をどこから調達するか」を管理する
品質部門:「どのロットにどの部品が使われたか」をトレースする
設計部門:「設計変更したとき、どの製品に影響があるか」を確認する
→ BOMが正確でないと、
製造で部品が足りない
調達で間違った部品を発注する
品質問題の原因がトレースできない
といった問題が連鎖する
“`
BOMの構造:フラットBOMと多段BOM
“`
【フラットBOM(1階層)】
製品を構成する全部品を同じ階層で列挙する
シンプルな製品・少点数の場合に使われる
例:
部品番号 品名 員数
AA-001 ハウジング 1
AA-002 シャフト 1
AA-003 ボルトM8 4
AA-004 オイルシール 2
【多段BOM(階層型)】
アセンブリ → サブアセンブリ → 単品部品 の階層で管理する
複雑な製品・大型設備に使われる
例:
製品(最終アセンブリ)
└ 駆動ユニット(サブアセンブリ)
├ モーターユニット
│ ├ モーター本体
│ └ ブラケット
└ 伝達ユニット
├ ギアボックス
└ カップリング
“`
設計者がBOMに記録すべき情報
“`
【BOMの基本項目】
□ 部品番号(図番):管理の基本キー
□ 品名:部品の名称
□ 員数:1製品あたりの使用数量
□ 材質:材料種類(SS400・SUS304など)
□ 表面処理:めっき・塗装・熱処理など
□ 調達区分:内製 / 購入品 / 標準品
□ 購入品の場合:メーカー名・型番・仕様
□ リビジョン:現在の最新版番号
【あると便利な追加情報】
□ 重量(単品)
□ 単価(概算)
□ 調達先(推奨ベンダー)
□ 代替品情報
□ 備考(特記事項・注意点)
“`
設計変更とBOM管理
設計変更が発生したとき、図面だけでなくBOMも必ず更新します。
“`
【設計変更時のBOM更新フロー】
設計変更発生
↓
変更する部品のリビジョンを上げる
↓
その部品を使っている上位アセンブリのBOMを更新する
↓
変更の影響を受ける他製品・他アセンブリのBOMも確認・更新する
↓
変更前のBOM(旧版)を保管する(いつ・何を変えたかの記録)
“`
“`
【よくある失敗】
失敗①:図面のリビジョンを上げたが、BOMのリビジョンは更新していなかった
→ 製造現場が古い部品を使ってしまう
失敗②:部品を廃番・変更したが、購入品情報をBOMに反映しなかった
→ 調達部門が廃番の部品を発注してしまう
失敗③:サブアセンブリのBOMを変更したが、
上位アセンブリのBOMに反映しなかった
→ 員数ミス・部品漏れが発生する
“`
設計者のBOM管理の実務
“`
【現場での運用ポイント】
①BOMは「図面と一体」で管理する
図番とリビジョンが図面とBOMで一致していること
②変更の都度、即座に更新する
「後でまとめて更新」は必ず漏れが出る
③購入品は「型番が確定した時点」でBOMに入力する
暫定品番のまま進めると、後で混乱が起きる
④旧版のBOMは削除せず保管する
製造トレーサビリティのために必要
【社内システムとの連携】
大きな現場ではPDM(製品データ管理システム)や
ERP(基幹システム)とBOMが連携していることが多い
→ システムへの入力・更新ルールを最初に確認しておく
“`
BOM管理チェックリスト
“`
設計変更後・提出前の確認:
□ 変更した部品のリビジョンをBOMに反映したか
□ 員数・材質・表面処理に変更があればBOMを更新したか
□ 購入品の場合、最新のメーカー型番を確認したか
□ 上位アセンブリのBOMにも反映が必要ではないか
□ 旧版のBOMを上書きではなく、バージョン管理しているか
“`
*設計×現場ラボ|機械設計の実務知識を、現場目線で発信しています。*



コメント