はじめに
私はこれまでSolidWorks、CATIA、AutoCAD、そしてJw_cadと複数のCADを現場で使ってきた。
転職のたびに環境が変わり、そのたびに新しいCADを覚え直してきた。
その中でも、Jw_cadは特に「最初のとっつきにくさ」が強いCADだと感じる。
無償で使えるにもかかわらず、インターフェースが独特すぎて、最初は途方に暮れる人が多い。
SolidWorksやCATIAに慣れた設計者がJw_cadを触ると、まずマウスの操作感に戸惑う。
「なぜクリックしても線が引けないんだ」という状態から始まることが多い。
この記事では、Jw_cadを実務で使ってきた経験から、最初に覚えるべき操作だけを厳選して紹介する。
全機能を網羅するつもりはない。「これだけ分かれば仕事が始められる」という7操作に絞った。
まず理解すべきJw_cadの独特な操作感
Jw_cadが他のCADと最も違う点は、左クリックと右クリックの役割が逆転していることだ。
一般的なWindowsアプリでは、左クリックが「選択・決定」、右クリックが「メニュー表示」という感覚だ。
Jw_cadではこの常識が通じない。
| 操作 | Jw_cadでの意味 |
|---|---|
| 左クリック | 新しい点を指定する(始点・終点など) |
| 右クリック | 既存の図形上の点を正確に読み取る(吸着) |
| 左右同時クリック | 選択した図形を決定・操作する |
特に右クリックの「読み取り吸着」は、Jw_cadを使いこなす上で欠かせない機能だ。
既存の線の端点や交点に正確に合わせたいとき、右クリックで吸着させる。
この感覚が身に付くまでは、線が意図しない場所に引かれて混乱しやすい。
SolidWorksやCATIAのように「スナップ機能がONになっていれば自動で吸着する」という感覚とは異なる。
Jw_cadでは「吸着させたいときは右クリックで明示的に指定する」という意識が必要だ。
最初に覚えるべき7操作
① 線を引く
線ツールを選択し、始点を左クリック、終点を左クリックで線が引ける。
既存の点に正確に合わせたいときは、その点の上で右クリックして吸着させる。
水平線・垂直線・斜め線の切り替えは、ツールバーの「水平・垂直」チェックボックスや角度入力で行う。
② 消去する
消去ツールを選択し、消したい線の上を左クリックすると線が選択される(赤くなる)。
右クリックで確定(消去実行)する。
範囲選択で複数の線をまとめて消去する場合は、範囲ボックスをドラッグで指定し、右クリックで確定する。
③ コピーする
コピーツールを選択し、コピーしたい図形を選択する。
基点を指定し、コピー先の位置を左クリックで指定する。
数値入力でコピー先を指定する場合は、「数値入力」ダイアログに移動量(X・Y)を入力する。
正確な位置へのコピーは数値入力が確実だ。
④ 移動する
移動ツールを選択し、移動したい図形を選択する。
コピーと同様に基点を指定し、移動先を左クリックまたは数値入力で指定する。
コピーと移動の違い:コピーは元の図形が残る、移動は元の図形が消える。
ツールバーの切り替えを間違えないよう注意する。
⑤ 文字を記入する
文字ツールを選択し、記入したい場所を左クリックする。
文字入力ダイアログが開くので、テキストを入力してOKをクリックする。
文字サイズ・フォントはツールバーから設定できる。
現場によって文字サイズのルールがある場合は、最初に確認してから設定しておく。
⑥ 寸法を記入する
寸法ツールを選択し、寸法を入れたい2点を指定する(右クリックで吸着)。
寸法線の位置を左クリックで決定すると、自動で数値が入る。
寸法の設定(文字サイズ・矢印の形など)は「設定」メニューから事前に整えておく。
最初にひな型となる設定を作っておくと、毎回の調整が不要になる。
⑦ 印刷する
印刷はメニューバーの「ファイル」→「プリンタ出力」から行う。
印刷範囲・縮尺・用紙サイズを確認してから出力する。
Jw_cadの印刷は「画面上の表示範囲がそのまま印刷される」という感覚が近い。
縮尺設定を間違えると、図形が用紙に収まらない・縮小されすぎるという問題が起きやすい。
印刷プレビューで必ず確認する習慣をつけておく。
SolidWorks・CATIAとの比較
私はSolidWorksとCATIAも実務で使っている。
それらと比べたときのJw_cadの特徴をまとめると次のようになる。
| 比較項目 | Jw_cad | SolidWorks / CATIA |
|---|---|---|
| コスト | 無料 | 高額(ライセンス費用) |
| 次元 | 2D専用 | 3D主体(2D図面も可) |
| 操作の覚えやすさ | 独特・慣れが必要 | GUIが直感的な部分が多い |
| 使える場面 | 製缶・板金・手書き風図面 | 精密部品・アセンブリ設計 |
| 起動の速さ | 非常に速い | 重い(高スペックPC推奨) |
私の現場では、プラント設備・搬送設備の図面はSolidWorksやAutoCADを使うことが多い。
一方で、製缶物の簡易図や現場改造の参考図をざっくり描くときには、Jw_cadの手軽さが活きる。
「重いCADを立ち上げるまでもない」という場面でのJw_cadの使い勝手は悪くない。
まとめ
| 操作 | 覚えるポイント |
|---|---|
| ①線を引く | 右クリック吸着で正確な始点・終点を指定 |
| ②消去する | 選択後、右クリックで確定して消去 |
| ③コピー | 数値入力で正確な位置へのコピーが確実 |
| ④移動 | コピーとの切り替えに注意 |
| ⑤文字記入 | 現場のルールに合わせてサイズを設定 |
| ⑥寸法記入 | 設定を先に整えてからひな型を作る |
| ⑦印刷 | 縮尺・印刷範囲をプレビューで確認 |
Jw_cadは最初の操作感に慣れるまでが一番のハードルだ。
特に左右クリックの使い方を体で覚えれば、あとは比較的スムーズに使えるようになる。
最初の1日は「線を引いて消すだけ」でいい。その繰り返しが一番の近道だ。
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